彼氏いない歴=年齢のまま死ぬのは嫌だった。

店の先輩で家電売り場にKさんという人がいた。わたしと同じ九州は長崎の出身で、飄々として優しい笑顔の先輩。わたしは彼のことがいつの間にか好きになっていた。その時までわたしは誰かと付き合ったことがなかった。でも、明日また大地震が来て今度こそ死ぬかもしれないのだ。どうせ死ぬのなら、誰かと付き合ってから死にたい。思い切ってわたしは彼をレピッシュのライブに誘うことにした。一緒に行くはずの友達が来られなくなったから、と嘘をついて半ば強引にチケットを渡した。それで一緒にライブには行って、ライブの後興奮冷めやらず、公園で缶チューハイで乾杯をし、その勢いでキスをした。
しかし、その後も彼からは何のアプローチも無く、少し仲の良い先輩、後輩のままだった。このままでは彼氏のいない歴=年齢で死ぬことになる!焦ったわたしは、当時お気に入りだったLong Vacation のCDを、良かったら聞いて下さい、と彼に渡した。直接、口で言うのは恥ずかしかったので、CDの帯?の裏に「好きです、つきあって下さい」と書いて渡した。
数日して先輩と二人きりになることがあった。あれ、どういう意味?本気なの?と聞かれて、気づいてくれたんだ!と驚き、嬉しかった。わたしで良かったらつきあってもらえませんか?と我ながらしおらしく言った。良いけど…。と照れながら言われた。
何度かデートをした。散歩とか食事、映画。キスもした。でも、それ以上にはなかなか進まなかった。このままでは処女のまま死ぬではないか!そう思ったわたしはつきあった記念旅行へ行こうと彼を誘った。行き先は金沢で、帰ってこられない→お泊まり→一緒に寝ることに!キャー。
でも、それでも彼はなかなか手を出してこなかった。仕方なく自分から誘った。
その彼とは毎日ラブラブで、店でも公認の仲になった。付き合いだして気付いたのは、彼がパチンコ中毒だということ。だから、デートも付き合うことにもあまり乗り気ではなかったのだ。彼にとって優先順位の第一位はわたしではなくパチンコだった。デートはいつもパチンコだった。わたしはつまらないので、スロットのプラムやオレンジを集めてみたりしたが、退屈でしょうがなかった。でも、彼のことが大好きで幸せだった。
彼が東京に転勤になった。震災の影響を、受けた会社が改革を始め、そのメンバーに選ばれたのだ。悲しかったけど、泣きながら引っ越し準備を手伝った。一緒に東京に行かへんの?と周りの人達に言われた。わたしもそうしたかったが、彼はわたしを受け入れる自信がないと言った。遠距離恋愛が始まった。わたしは淋しくて5キロくらいやせて、会いに行くと彼は「ウエストが出来てる!」と喜んだ。デートはやはりパチンコだった。
中間地点で会いたかったけど、お互いに交通費と宿泊費がかかるし、結局わたしが彼の家に行くことになった。わたしの方が彼なしではいられなかったので仕方がなかった。交通費を稼ぐため、淋しさを紛らす為にわたしはテレクラのバイトを始めた。